保野田、意味わかんない


「笠原さん、さすがに水着もってないでしょ?」


もってないけど。


「だから、足だけでもどうかなって」

「浸からないです」

「え、やだけど」

「わたしもやだですけど……」


ほんとなんなの、保野田め。


「おれ、立ち上がってここまで移動させた」

「その労力を感謝のために使えば?」


ほぼ話したことのない相手に、こんな通じない話をふっかける保野田も保野田だけれど。


喧嘩口調なわたしもわたしだな、普段みんなの前で被ってる猫はどうした。


「足だけ浸かればいいじゃん」

「ねぇ暑いから帰っていい?」

「浸かれよ」


だからなんでよ。


「おれ暇、寂しい、な?」


うっ、顔がいい。


「座るだけね」


縁側に腰掛けさせてもらう。足はいれない。


「んー、まぁそれでもいいよ」


いやそれお前が言うセリフじゃねえ。

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