溺愛しすぎじゃないですか?~御曹司の初恋~

「あーあ、お昼になっちゃった。」

「李子が起きないからでしょ?」

「えー、私が悪いの?離してくれなかったの大輝なのに。」

「うーん、でも裸でベッドに寝てる李子を見て、何もしないのはムリじゃない?」


ムリじゃない?じゃない、そこは理性をもう少し働かせてほしい。
動くには体がだるいが、また大輝が襲い掛かる前にシャワーを浴び服を着た。

『あーあ』なんて大輝は言ってたけど、そこは無視!お腹も減ったし動き出しますか。

次はまたゆっくりと大輝との時間をいつ取れるか分からないから時間は有効に使わなきゃ。幸いな事に大学の登校日は火曜日だし、次のバイトも火曜日まで無いから、明日は家でゆっくり休めるしね。

『お腹すいたねー』って冷蔵庫を覗くが見事に何も入ってない。
入っているのはビールが3本とペットボトルのお茶と水だけ。


「大輝・・・、いつも何食べてるの?」


私がお泊りに来るときは、だいたい買い物をしてきてたので気にした事が無かったが、改めて見るとホントに何も入ってない。


「ん?外食かコンビニ弁当?」

「はー、そんなんじゃ体壊すよ。そのうち。とりあえず買い物行こ!」


今日のお昼はさすがに作るのもしんどいので駅前のファミレスで済ませ、駅前のスーパーまで歩いて行き食材やタッパー等を買い込み店を出た。

そして店を出たところで大輝が私を引っ張り物陰に隠れた。


「なに?どうしたの?」

「しーっ。アイツがいる。」


アイツ?大輝の目線をたどった先には、・・・広瀬綾里。


「うそっ!」


思わず大きな声を出してしまった私の口を大輝は慌てて塞いだ。
彼女はキョロキョロと辺りを見回し誰かを探している。

たぶん大輝を・・・。


「李子、遠回りになるけど西口から帰ろう。アイツも俺の今の家は知らないはずだから、今見つからなければ大丈夫。」


大輝に手を引かれ西口に向かう。
普通なら大輝のマンションまで10分もかからないのに今日は遠回りして倍の時間はかかって家に戻った。
広瀬さんに見つからず家に戻りソファーに腰掛けやっと落ち着いた。


「大輝これから大丈夫?毎日駅で待ち構えられてたらどうする?」

「それは無いと思うけど・・・、引っ越し考えようかな。ここ気に入ってたんだけど気にしながら住むの嫌だし、俺がいない時に李子が出会って何かあっても困るしね。」


確かに昨日チラッと顔を見ただけで私の事を覚えてるとも思えないけど、不安は残る。会えなくても大輝の健康のためにご飯をたまに作りに来ようかと思ったから。

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