溺愛しすぎじゃないですか?~御曹司の初恋~
Side大輝


久々の李子とのデート、珍しく電車移動だ。
連休と言う事もあって渋滞を避けるためと李子は言っているが、仕事で疲れた俺が渋滞の中運転し続ける事を避けるためでもあるだろう。

でもこの交通手段を選んだことを直ぐに後悔する事になった。

しかも一日で二回も・・・。


朝、李子の最寄り駅で待ち合わせをし出かけようとした出だしで、まずこの日最初の面倒くさい事になった。


「李子!」


聞き覚えのある声がした。振り返れば関根がいた。


「この前、電話で言っただろ?『週末会えない?』って。」


俺と一緒にいるにもかかわらず李子に言い寄る関根。
俺の体ってホントにここに今あるよね?ってくらい俺の事はスルーだ。
李子も『私、断ったよね。』と強く言うが関根も引かない。


「関根、悪いけど俺たち今から出かける予定なんだ。邪魔しないでくれる?」


怒りを抑えそう伝えた。


「李子ともう一度話がしたいんだ。あなたは何時でも李子と会えるでしょ?俺はこの連休が終わったら、また名古屋に帰らないといけない。時間が限られてるんです。」


なおも食い下がる関根にイラつきの限界がきた。


「じゃあ、その少ない時間は別の事で有効利用すれば?どうせ先月久しぶりに見かけて李子の良さがわかったから、よりを戻さないか?って感じの話でしょ?今頃になって何言ってんの?君が遠恋ムリって別れ切り出したんでしょ?半年も経ってもったいなくなった?李子いい女だったって分かった?まあどっちにしても李子と話はさせないし。今の李子の彼氏は俺で、俺はこの先も李子を手放す気無いから。諦めて帰れ!・・・李子、行こう。」


李子の手を引きその場を離れた。
ホームまできてやっと気分も落ち着いてきた。
でも李子が関根と連絡を取ってたことが気に食わない。


「李子、あいつと連絡とってたの?」

「とってないよ!」


めずらしく大きな声で即反論した李子。
関根からの電話の経緯を聞き安堵したと同時に、俺の質問にも態度にも李子が気分を害したのではと急に不安になってきた。『今日はどうする?』恐る恐る尋ねると『大輝は?どうしたいの?』と俺の意見を聞いてくれる。

俺の答えはもちろん一択。


「久しぶりのデートだから行きたいかな?向こうに行けば楽し事で嫌な気分も忘れられるでしょ?」


李子を気遣うように言ってみたが実のところは自分が李子と一緒にいたいだけ。
俺たちはそのままデートを続ける事にした。

そして江の島を満喫し気分よく帰ってきた所で次は俺の元カノと遭遇する事になった。


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