溺愛しすぎじゃないですか?~御曹司の初恋~
十一月に入って直ぐ、李子の就職が決定した。
大手ではない、小さな出版社。李子が第一希望にしていたところだ。

何処でお祝いをしようか悩んでいると夕方また李子からメッセージが届いた。

【あのね、お母さんが大輝も一緒に内定のお祝いしないかって言ってるの。土曜日なんだけど仕事とか用事ない?】

親も一緒にか・・・。

一瞬考えたが同棲の許可を得るチャンスかもしれないと思い直ぐに了承の電話をかけた。


「李子?俺は土曜日大丈夫だけど、いいのか?お邪魔して。」

「うん。あのね、来るの大輝だけじゃないの。」

「他に誰が来るの?奈津ちゃん?」

「違う。それがね、お母さんが今お付き合いしてる内藤さんって人も一緒に四人でお祝いしようって言われた。」

「お母さんの恋人?それこそ俺が行っていいの?」

「だってお母さんから四人でお祝いしましょ。風間君に予定聞いておいてってメッセージが来たんだもん。だからいいと思う。」

「分かった。時間と場所が決まったらまた連絡して。あっ、李子、おめでとう。良かったな。」

「ありがと。また連絡するね。」


李子の母親に彼氏がいるのは聞いていた。
その人と李子も仲良くしてるとも聞いていたが、まさか祝いを一緒にすると提案されるとは。




祝いの席で初めて内藤さんに会い驚いた。

李子の母親は確か設計事務所で働いていると言っていたが、堤設計事務所だったとは。
堤設計事務所は代表の堤圭壱と内藤忠が立ち上げ、わずか二十年ほどで国内中に名を知られる設計事務所となった。

その創設者の一人である内藤さんが李子の母親の交際相手だったとは。

彼とは数年前、実家の改築をお願いした時に会った事がある。

『初めまして』と声をかけられた、俺の事を覚えていないのか?まあ俺も大学生だったしな。


食事は和やかに進み残すはデザートのみとなったところで二人から結婚しょうと思っていると聞かされた。李子は反対する気は全くなさそうだ。
でも三人で内藤さんの家で一緒に住もうと提案され『私、これを期に一人暮らしする!』と言い出した。二人はもちろん心配だからと反対しているが、二人よりも俺の方が心配で何も手につかなくなりそうだ。


「あの、俺も少し前から李子に提案してたんですけど。李子との同棲認めてもらえませんか?」


俺の申し出に困惑を隠せない二人だったが、今引っ越しを考えている事を伝えると


「風間君、李子の事ちゃんと守れる?私と約束出来る?」

「もし李子が泣いて帰ってきたら許さないわよ?」


と同棲する事を許可してくれた。


「喧嘩して泣かせることは・・・あるかもしれないですけど、一生離すつもりはありません!」


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