溺愛しすぎじゃないですか?~御曹司の初恋~
三月二日、ついに李子が奈津ちゃんと卒業旅行に出かける日が来た。

帰って来るのは八日。

一週間も離れるなんて耐えられるかな俺・・・。

旅行を決めた時も女子二人だけでは心配だと反対したが『学生時代最後の思い出だから』と言われ渋々納得した。
俺も社会人になる前にと卒業旅行に青依と二週間ヨーロッパを周ったしな。
それに比べれば一週間、しかも日本人も多いグアム・・・。

そう、日本人も多い・・・、ダメだ余計に心配になってきた。


出発ギリギリまで『絶対に、誰にもついて行っちゃダメだからね。』『ちゃんと連絡入れる事!』など李子に言い聞かせてたら青依に呆れられた。


「大輝、お前それくらいにしとかないと李子ちゃんに愛想付かされて、グアムから家戻って来なくなるぞ。」


それは困る。絶対にダメだ。


「青依先輩、よろしくお願いします。・・・大輝、行ってくるね。ちゃんと連絡入れるから。」


淋しそうに李子が『行ってきます』を言っている。
ダメだな、こんな顔で旅行に行かせちゃ。


「ちゃんと連絡だけは入れろよ。・・・楽しんでおいで、行ってらっしゃい。」


オデコにキスを落とし笑顔でちゃんと送り出した。

李子たちが見えなくなると青依が俺の頭を撫でながら『良く出来ました』って・・・。

ムカつくー。

李子たちが乗った飛行機が空へ飛び立った。
李子、無事に元気な顔で帰って来てくれよ。
もしお前になんかあったら俺たぶん生きて行けないから・・・。




その翌日から女子達が群がってきた。
何処から情報を仕入れたのか知らないが、李子不在の間に俺と関係を持とうと企んでるらしい。
飲みの誘いも断って、一人で淋しいが家に帰って李子が作ってくれたご飯を俺は食べるんだ。

李子からいつ連絡が来るかもしれないし。

でもご飯も三日分しかないんだよなー。

四日目は青依を誘って食事に行くか。

あいつも奈津ちゃんいなくて淋しいだろう。



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