溺愛しすぎじゃないですか?~御曹司の初恋~
ゴールデンウィークも終わり五月もあっと言う間に過ぎ、もう六月になった。

今月は十五日が私、そして二十三日が大輝の誕生日なのだ。
だからちょうど日曜日が重なった私の誕生日に二人分のお祝いをする事になった。


「プレゼントも隠したし、夕飯の準備をするか。」


一週間後に誕生日のお祝いが迫っているのに、いつも休みの日は大輝と一緒にいたからプレゼントを用意する暇がなくて焦っていた。
運よく?木曜から土曜日までの出張が急に入り大輝は今日の夕方まで留守になったので、今日は朝からプレゼントを買いに出かけたのだ。

プレゼントを見つからないように寝室のクローゼットの奥に隠し、疲れて帰って来るであろう大輝のために夕飯を作る事にした。


「大輝は何時に帰って来るかなー。今日は鮭の西京焼きにほうれん草と春菊のお浸しとー、根菜の煮物に豚の角煮!」


鼻歌まじりで夕飯の用意と平日のための作り置きを何品か作ったところでチャイムが鳴った。

ん?誰だろう。大輝ならカギで入って来るはずだし、今日荷物が届くとも聞いて無い。


「はーい。」


画面には知らないおばさんが映っていた。
あと後ろにもう一人おばさんと私くらいの若い女性。


「あなた誰!」

「あ、あの、失礼ですが、あなたは?」

「はっ?大輝の母です。とりあえずここを開けなさい!」


そんなふうに怒鳴られて開ける奴はいないだろう。

ホントにお母さんなの?この人。怖い。

そう思っていると、ちょうど中から出る人がいて自動ドアが開いた。
そして直ぐに今度は玄関ドアのチャイムが鳴りだした。

ピンポン!ピンポン!ピンポン!ドン!ドン!ドン!


「開けなさい!警察呼ぶわよ!」


いやいやこっちが警察を呼びたい側だと思う。
大輝に連絡を取ろうと電話をかけるが出ない。
その間もずっとインターホンを押し、ドアを叩き続けるおばさん。


「あのー、どうかしました?」


ドアの向こうで住人の誰か声をかけたようだった。


「家の中に知らない女がいるのよ。」

「知らない?たぶんここに住まわれてる方ですよ。数時間前にお会いいましたから。」


隣の家の人だ。ちょうど買い物から帰った時に会い挨拶をした。
これ以上近所に迷惑はかけられない。
お隣さん以外も出ては来てないだろうけど気づいてるだろうし。



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