溺愛しすぎじゃないですか?~御曹司の初恋~
今月は俺と李子の誕生日がある。
俺の誕生日は平日だし李子の誕生日当日に何もしないなんてありえない。
先月から指輪を準備し、プロポーズするんだ。

せっかくの土曜日なのに今日も急遽仕事が入った。
まあ今日は定時上りが出来たからいいとしよう。
早く帰って李子の手料理が食べたい。昼もおにぎり二個だけだったから腹減ったー。

玄関を開けると女性ものの靴が三足、しかも見たことない靴ばかりだ。
不思議に思いながら『ただいま』とリビングを開けると母親とその親友、そしてその娘がいた。

しかも娘の方は李子のエプロンを着け『おかえりなさい』って言いやがる。

李子はどこだ?見当たらない。


「なにをしてる。」


娘の方を睨みながらそう言い放つ。


「もう、そんな顔しないで。真理ちゃんが夕飯用意してくれたわよ。食べましょ。」


はあ?どう見てもこれは李子が作ったもんじゃねえか。


「何が用意しただよ。これは李子が作っていたやつだろうが。李子はどうした。」

「ああ、あの子。不法侵入で追い出したておいたわよ。ほんと大輝は不用心なんだから。」

「追い出しただと?不法侵入?それは母さん、アンタたちだろ?」

「まあ、実の母親を不法侵入だなんて。」

「百歩譲って母さんは違うとしても、アンタら二人は完全に不法侵入だな。ここは俺の家で母さんの家じゃない。家主は俺。俺の許可なく入った他人のアンタらは・・・。とりあえず直ぐに出て行け。」


ホントどんな思考回路してんだよ。
俺がいない間にいくら親友の子供の家とはいえ勝手に入り込み、しかも李子の物まで勝手に使って。


「まあ、大輝!真理ちゃんに謝りなさい!婚約者になんてこと言うの!」

「はあ!誰がこんな女、婚約者にするか!初めから断ってるだろが!俺には李子がいるんだよ!親父もじいさんも認めてる。そんな事言ってんのは母さんだけだ!」


怒りが抑えられず怒鳴りつけた。
同時に胸ポケットに入れたスマホが振動し始めた。
誰だよこんな時にと思いながら取り出し画面上に浮かび上がった名前を見て息が止まった。


「はい。風間です。」

「大輝君、落ち着いて聞いてくれ。李子ちゃんが救急車で運ばれた。」

「李子が!」

「ああ。僕と沙代里はもう病院についてる。大同総合病院だ。来れるか?」

「行きます!直ぐに行きます!」


ここを追い出された李子に何があった。


「とりあえず出てってくれ。俺も急いで出かけなきゃらないから。」

「あら、大輝出かけてもいいわよ。私達、あなたが帰って来るの待ってるから。」

「はあ?・・・、李子が救急車で運ばれたんだ。直ぐに出たいから出て行け!」


自分の母親がこんなにも話の通じない人だとは思わなかった。


「あら、おば様が突き飛ばした時に壁で打ったみたいだったけどケガしてたのかしら。」


真理とか言う女がボソッと俺の横で呟いた。
李子を突き飛ばした?


「あれくらいでケガするって、鈍い子ね。」


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