溺愛しすぎじゃないですか?~御曹司の初恋~
昼前に実家に着きリビングに行くと親父とじいさんが揃ってソファーで寛ぐ、いや疲れ切った様子で座っていた。


「ただいま。親父もじいちゃんも疲れてる?」

「ああ、大輝おかえり。「あらー、大輝おかえりなさい!真理ちゃんとお話しできた?今朝、あなたの家に来たでしょ?」」


親父と話ている横からテンションが高めな母が話に入ってきた。
しかも昨日、俺が言ったことが全くなかったかのようだった。


「五月、今から大輝と大切な話をするから向こうに行っててくれるか。」

「あら、私の話も大事よ。真理ちゃんとの結婚式の日取りも考えないといけないでしょ?それに他にも」

「五月!向こうに行ってろ!」


珍しく、いや母に対して大きな声を親父があげたのは初めてかもしれない。
親父の強い口調に驚いたのか母は何も言わずリビングを出て行った。


「大輝、すまないな。昨日からずっとあの調子なんだ。」

「ずっと?」

「大輝から連絡を貰って五月を迎えに行ったんだが、ずっとあの調子で『ウエディングドレスの真理ちゃんかわいいでしょうね。』とか、お前と彼女が結婚する事が決定のようだな、あいつの頭の中では。」

「母さんもか・・・。」


俺がげんなりとした様子を見て二人は不思議そうに尋ねてきた。


「母さんも?五月さん以外にも誰かそう思ってる人がいるのか?もしかして李子ちゃんの親御さんか?」

「いや、そうじゃない。今朝、家に真理とか言うあの子が来たんだ。」


今朝の事を説明し終えると親父が眉間に皺を寄せながら『五月と同じくらい重症だな』と呟いた。


「李子の義父、内藤さんが自分の方でも何か考えとくって言ってたけど。」

「内藤?」

「ああ言ってなかったけ。李子のお母さんが再婚した相手が堤設計事務所の内藤忠さんなんだ。李子のお父さんが亡くなって直ぐにお母さんが事務所で働き出して、内藤さんも李子の事を本当の子供のように思ってる。だから今回の事も相当怒っててね、ちゃんと解決するまでは李子を帰さないって言われた。李子との同棲の許可を貰いに行った時に、今回の母さんの行動について噂を聞いてるって釘をさされてたのに俺が甘く見てたから自業自得だし。とりあえず一日でも早く李子を迎えに行けるようにしないと。」


李子の義父、内藤さんの素性を知って驚きを隠せないでいる親父とじいさんだったが、次に親父の言葉を聞き俺の方が驚き声を出せなかった。


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