溺愛しすぎじゃないですか?~御曹司の初恋~

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大輝の家を出てから約一ヶ月以上が経つ。
流産から一週間後の診察の後、大輝に連絡を入れた時に『俺、李子の事、迎えに行っていいんだよな?』と言ってくれた言葉を信じ、一日でも早く前の生活に戻れるように頑張った。

私の楽しみは毎晩送られてくる大輝からのメッセージ、毎日忘れず送って来てくれる。
ある日【引っ越そうと思う】とメッセージが来た。

あのマンションは気に入っていた。
利便性も良かったし、お隣の住人さんや管理人さんも凄くいい人だったから。
でも確かにいつまたあの女の人が来るかもと怯えて暮らすのも嫌だった。

そう言えば元カノの広瀬さんもあの人と同じようなタイプの人だったな。
大輝って優しいし、人あたりいいからストーカー?を引き寄せるのかな・・・。

そんな事を考えながら【家選びは大輝に任せるね。】と返事を返した。
それから暫く経って家が決まって引っ越しも終わったと写真付きでメッセージがきた。

引っ越そうと思うと言われてから二週間も経ってないんですけど?

話を聞けば、またおじいさんに世話になるのは迷ったけど自分たちの今の状況じゃ色々考えてもまともな所にはムリと判断して、おじいさんの好意に甘える事にしたとか。
送られてきた部屋はとても立派でいい所なのはわかる。

大輝のおじいさんって、何軒家持ってんの?

前から思ってたけど大輝ってそこそこのお金持ちじゃなくて超お金持ちの家の子?
だとすれば大輝の母親の行動もちょっと行き過ぎる事はあったとは言え納得できる部分も出てくる。

嫁は一般家庭の娘ではダメ、どこかのお嬢様でなければと政略結婚の相手を連れてきた・・・。

だとしたら私で本当にいいのだろうか。
そんな事を思った三日後、母と夕飯を食べようとテーブルについた時、着信音が鳴りだした。
画面には【大輝】の文字。いつもはメッセージなのに。


「大輝からだ。お母さん、ちょっと電話でるから先に食べてていいよ。」

「そんなに時間かからないでしょ?待ってるわ。」


そう言われ自室には戻らずリビングでそのまま電話に出た。
『はい』と電話に出るといきなり叫ぶように『李子!内藤さんからやっとお許しが出たよ。明日、いや今からでも迎えに行く!また一緒に住んでくれる?』と言う大輝。

暫くの間、何を言われたのか分からず返事が何も出来ずにいたが、大輝の言葉を頭の中でリピートをし漸く何を言われたのか理解したとたん嬉しさで涙が溢れてきた。
『李子?』と心配そうに名前を呼ぶ大輝に漸く返事をする事ができた。


「うん。・・・直ぐに迎えに来て・・・。」


私の返事を聞き『わかった。今実家だから一度車を取りに戻ってから迎えに行くから。準備だけして待ってて。』と電話を切る大輝。
横で見ていた母も聞こえ漏れた会話から何となく話の内容を理解したのか


「李子、ご飯は大輝君が来てから一緒に食べましょう。それまでの間に急いで荷物まとめなきゃ。」

「うん!」


大輝がこの家に私の荷物を持って来てきてくれた時のスーツケースとバッグに当面絶対に必要な物を入れた。
パジャマやその他普段着の一部は泊まりに来た時用に置いていく事にした。
一ヶ月ちょっとだったとは言え帰って着た時よりも確実に私の荷物は増えている。




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