溺愛しすぎじゃないですか?~御曹司の初恋~
Side大輝

朝いつも通りに李子に起こされ朝食を食べようとした時、それは突然告げられた。


「陣痛来たみたい。」


はっ?陣痛?えっ?もう生まれる?

一気に頭の中がパニックになった俺は自分が次どのように動けばいいのか頭で整理がつかず固まってしまった。


「大輝、おーい。」


目の前で李子が俺を呼びながら手をひらひらさせている・・・。
はっ!


「・・・・、李子!病院!早く、何呑気にしてるの!」


やっと出てきた言葉がこれだ。

そんな俺を宥めるように『まだ十五分間隔だから。十分間隔になったら連絡するように言われてるし大丈夫。でも大輝にお願いがあります。』と。

なんだろうと思い考えても何も浮かばない。

李子から告げられたお願いは『今日、お仕事休める?』だった。
当り前だ、休むに決まってる。
早速、親父に李子の陣痛が始まったから休むと連絡を入れた。
よし、これで大丈夫と李子を見れば何処かに電話をかけている。


「お義父さん、おはようございます。・・・・・、大輝さんちょっとパニックで。陣痛が始まったみたいなんですけど、まだ間隔長いし、痛みも弱いので、まだまだだと思うんですが一人では不安なのでお休みできればと思って。・・・・、はい、ありがとうございます。また状況は連絡します。」


えっ?親父?なんで?俺かけたじゃん。

でも李子の電話の話を聞いているとだんだんと冷静さが戻ってきて、さっきまでの自分の行動が恥ずかしくなって、『李子、荷物だけはいつでも出れるように車に積んでくるよ。』と入院準備が入ったキャリーバッグを車まで持って行った。



病院に朝一度行ったが、まだまだと言われ家に帰ってきた。

【母は強し】なのか李子は帰りにドライブスルーに寄ってハンバーガーを買って帰る余裕がある。

ホントに初めてのお産なのか?と思いたくなるぐらい余裕だ。

先輩たちの体験談ではもっと大変だったて言ってたけどな・・・。



夕方、リビングで仕事をしていると李子が病院に電話をかけ出した。
話をしている間も陣痛が来たのか昼過ぎとは全く違う苦しそうな顔をしながら痛みを逃していた。

病院に着いてからは俺的にはあっという間だった。

痛みで苦しむ李子に何もしてやれない。
オデコの汗を拭き、団扇で仰いで、手を握ってやるだけ。

やっと、いきんでいいと言われいきむこと三回、股の間からぬるんと何かが出てきた。
暫くすると『ほぎゃー』と泣き出した我が子。

先生が『おめでとうございます!男の子ですよー。』と子供の顔を見せてくれた。

処置を終え、李子の腕の中にやって来た我が子、かわいい。

開いた掌に指を一本乗せるとギュッと握りしめてくれた。


李子、こんなに愛しい子を産んでくれてありがとう。

二人で大切に育てて行こうな。



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