母を想えば


「ただいま。」


「おかえり。お風呂沸かしといたよ。」


「・・・・・・・・・・・・・・。」


「・・・・・・?」


「トモコ。」


「どうしたの・・・?」


汗でびっしょり濡れた背広をハンガーに掛けていると・・

いつもならお風呂場に直行するはずなのに・・・・私の前で・・・


「なんで土下座するの・・?」


「大事な話があります・・・。」


「・・・・・なに・・・?」


「申し訳ございません・・・!!」


「謝る前に、なんで謝るかを教えてください。」


「・・・・・・・・・・・・・。」


「・・・。」


「会社・・クビになりました・・。」


「!?」


「・・・・・・・・・。」


「どういう・・こと・・?」


「ここ数年ずっと業績が悪くて・・

俺も皆と力合わせてなんとかやれる事頑張って踏ん張ってたんだけど・・

・・もうこれ以上・・
どうしようもなくなって・・。」


「・・・・・・・。」


「会社を倒産させない為には、

ライバル会社に吸収合併される形しか選択肢が無かったみたいで・・・。」


「え・・ごめん、
よく分かんないよ・・?

会社が倒産したわけじゃないんでしょ?
大きな会社に身売りしただけなんでしょ?

なんでそれでハヤトがクビになるの?」


「・・・・・・・・・・・・。」


「・・・・・・。」

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