母を想えば
「感心してる場合じゃないぞ?
それはお前や早苗にも同じ事が言えるんだから。」
「え・・俺らも何かマズいですか?」
「いいか小西。
“どっちが殺意を持っていたのか”
“どっちが先に襲ったのか”
そこに固執し過ぎるな。
“女性は男性の腹と背中を2回刺した”
“男性は女性の顔面をド突いた上に刺した”
長さんの検死で分かった事はそれだけだ。
相手が検事長。
相手が年齢にそぐわない綺麗なホステス。
色んな憶測とか背景が思い浮かぶシチュエーションだし、
でけぇ顔した県警がいきなり現れて、
決めつけた態度を取ってくるのに反発したくなる気持ちも分かる。」
「・・・・・・・・・・・。」
「この事件には“裏”があるかもしれない。
そう思わせて裏なんて無くて、
“裏の裏は表”かもしれない。
とにかく、久しぶりに捜査会議に出て皆やお前と喋って、
久しぶりの現場を実感した上での直感だけど、
今回の事件は【情報の取捨選択】が鍵を握ってる気がする。」
「・・・了解です。
じゃあ一つ一つ、
収集して組み立てていきましょう。」
「よし、そうと決まったら、
ちょっとサルの所行こう。」
「さっき怒らせたばっかりなのに大丈夫ですか?」
「・・バナナ持ってったほうがいいか?」