母を想えば


“太鼓持ち”、“ゴマすり”

そんなイメージのある猿渡警部が、
どこかそんな雰囲気を消して、

“マジなテンション”というか、
真剣な面持ちでその足組みを崩す。



「あのお方は正真正銘の・・
【正義の化身】だった。

どんなに小さな糸口でも、
そこに僅かな突破口しかなくても、

俺達以上に犯罪者を憎み、

俺達警察が手こずるヤマでも積極的に“立件”に協力してくれた。


杉内殿のお陰で、どれだけの犯罪者をブタ箱にぶち込めた事か・・。

検察にあのお方が居てくれたお陰で、どれだけの遺族が救われたことか・・!」


「「・・・・・。」」



「・・・小西。お前いくつだ?」

「今年で32です。」



「真田は?」


「何歳に見えます?」


「いや面倒くさいキャバクラのノリか!

・・まぁ良い。
お前らも耳にした事はあるだろ?」


「何をですか?」


「お前らがまだガキだった頃・・

20年前、日本中を震撼させたサイコパス。

杉内殿はあの【灰原ジロウを逮捕した男】なんだよ・・。」


「「・・・・・・・・・。」」



・・・いや灰原ジロウって誰だ!?


“誰ですかそれ?”って聞き返せない雰囲気なのでとりあえず言葉を飲み込・・



「・・・灰原ジロウって誰ですか?」


言葉を飲み込まなかった真田さんの返す刀に、猿渡警部が椅子からズッコける。


「お前らそれでも刑事か!!!」


結局、ついさっきの捜査会議で繰り広げられた展開となり、

再びお猿さんのように顔を真っ赤っかにしたサルのお説教タイムへと突入してしまった。






第3話 完











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