母を想えば
「ママ。捜査に関わる事なので教えて頂けませんか?」
「この業界では御法度だったんですが・・
トモさんは他の常連様にも贔屓にして頂いて、売上にも大きく貢献してくれてたので、
あえてオーナーには報告しなかったんですが・・。」
「「・・・・・。」」
「正直・・杉内様とトモさんは、
“キャストとお客様”以上の関係でした。」
「それはつまり、
“男女の仲”だったという事ですか?」
「はい・・・・。」
「杉内さんには家庭がある事もご存知ですよね?」
「勿論です。でもきっとトモさんはそれも承知の上で・・・。」
「ママはどうして2人の関係を知ってるんですか?
本人が自慢気に話してたんですか?」
「いえいえ!まさかそんな・・。
トモさんはあまり自分の事を話さないというか・・。
履歴書や本人確認の免許証には“満島トモコ”って書いてあったけど、
本人に固く“旧姓の原口トモコとして雇ってくれ”と言われ、
何かワケありの様子でしたが、それ以上は一切話そうとしなかったので・・。」
「・・・・・・・・・。」
「杉内様はお仕事のお仲間の方や、
東京のお偉様方との接待でこのお店を利用して頂いていました。
“お付き合い”というか、
あくまで“仕事上”としてお越し頂いていて、
決してご家庭を蔑ろにするような方では無かったんですが・・
トモさんと出会ってからは、
よくお一人で来るようになって、
彼女をお側に付けるようになったんです。」