母を想えば


「長さんを呼ぶまでも無いな。」


「何がですか?」


「これ見てみ。」

真田さんがまずは冷蔵庫の中を指さす。

「水しか無いですね。」



「次、こっち。」

タンスの中・・

「洋服が数着、バスタオル数枚、
ハンカチぐらいか・・。

着物は全部お店で保管してたんですかね?」



「最後はこれ。」

ゴミ箱の中・・

「・・特にこれといった物は無いですよ?」


「少なくとも、
この部屋には痕跡が全く無い。」


「・・・“痕跡”と言うと・・?」


「杉内検事長との密会場所はここじゃないって事。」


「・・・あ~なるほど!

もし定期的に二人がここで“ヤって”たんなら、“男”の痕跡があってもいいですよね。」


「来客にミネラルウォーターを出す?
一戦交えた後にハンドタオルも無い?

避妊具だけじゃなくて、
丸く包まれたティッシュすら無い?

だからこの部屋は正真正銘、
満島さん一人だけが使ってたって所かな。」

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