母を想えば
「でも、こんな風呂も狭い場所なんだから当たり前じゃないですか?
普通、逢瀬を重ねるならホテルを利用するはずじゃ・・?」
「小西君よ、
意外とこういうのが大事なんだよ。
“いや、満島さんが住んでた部屋で会ってたかもしれないじゃん?”
今後もし誰かがこの疑問をぶつけてきたら、
“その痕跡は無かった”
って答えられるようにしとかないと。
ダメ押しで、隣人や下の階の住人にも聞いておこう。
こんな壁の薄い部屋で逢瀬を重ねてたら丸聞こえなはずだから、
一発で分かると思・・。」
“バタン!!”
「「うぉ!?」」
なんだ!!?
急に何かが倒れ・・・?
「あ~ビックリした・・・。」
真田さんと同時にビビったその音の正体は、スタンド型の鏡。
「蹴った?」
「いや、蹴ってないです。」
「じゃあ何で勝手に倒れるんだよ。」
「ちょ・・早く出ましょ。」
「おいおい。オカルトな展開は勘弁しろよ。
謹慎中にアマゾンプライムで“呪怨”見て以来、ホラーがマジでダメになったんだから。」
「なにちゃっかり謹慎ライフを満喫してるんですか。」
しっかり鍵を掛けて大家さんに返した後、今度は犯行現場を見に行こうと車を走らせた。