母を想えば


「・・いいか!

満島トモコは杉内殿の帰宅時を“待ち伏せ”して、

彼が現れるのをじっと待ち・・こうやって背後から奇襲をかけたと思われる!」


猿渡警部の解説が聞こえた後、
足音と共に背中へトンッと手刀が当たる。


「よし小西、こっちに振り返れ。」


「はい。」


「いいか!

背中を刺された杉内殿は当然、
“何事か!?”と後ろを振り返る!

それに対し、満島は2発目として腹に向かって包丁を入れようとする!

・・・よし小西、
抵抗しながら俺の顔面を殴るフリしろ。」


「はい。」


「いいか!

当然、杉内殿は必死に抵抗をして、
襲撃者満島の顔面を殴る!

そして2人は揉み合う最中・・
小西、俺の腹に軽くチョップしろ。」


「はい。」


「いいか!

杉内殿は正当防衛で満島の腹を刺した!

そしてあの女の力が弱まったこの瞬間、

きっと杉内殿は助けを呼ぼうとスマホを取り出そうとしたはずだ!

・・・よし小西。
ポケットからスマホを出そうとしろ。」


「はい。」


「だが!満島め・・諦めの悪い女だ!

あの女は最期の力を振り絞って、
杉内殿の腹へ包丁を突き刺した!」



猿渡警部の手刀がトンッと俺の腹に当たる。


「よし小西、倒れろ。俺も倒れる。」


「はい。」


< 137 / 240 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop