母を想えば
「いいか!これがこの事件の真相だ!
これなら、杉内殿,満島の双方にあった外傷。包丁を握ったまま死んでいた満島。
当時の現場の状況が完璧に再現される!」
仰向けに倒れながら、
首を少しだけ傾けると、
うつ伏せに倒れている猿渡警部の力説に、
県警の皆さんがウンウンと頷いている。
「殺意を持った満島が杉内殿を襲い、
正当防衛の末に力尽きてしまった・・!
なんたる無念・・!!
いいか!
杉内殿の名誉は必ず我々が守るぞ!」
・・・起き上がってもいいのか?
猿渡警部がうつ伏せのままジタバタと力説してるけど、俺は一足先に起き上がる。
「ウキキキ。どうだ小西。
異論はあるか?」
「え~っと・・
矛盾は無いかと思います。
これなら杉内検事長が受けた背中とお腹の刺し傷。
満島さんが受けた殴打とお腹の刺し傷も説明がつくと思います。」
「だろぉ~?」
「ただ・・・・。」
「・・・ただなんだ?」
「この仮説を立証するには、満島さんが杉内さんを襲った“動機”の解明と、
凶器となった包丁を“満島さんが用意した”という証明が必要になります。
まだ証拠が何も揃ってないので、あくまで可能性の一つに留めたほうが・・・。」
「それを!!お前たち所轄が見つけるんだろうが!さっさと情報取ってこい!!」