母を想えば
「おサルさん、1つだけ良いですか?」
「!!?」
“お”と“さん”を付ければ良い話じゃない気がするけど・・
ポリポリと頭を掻きながら実況見分の様子を見ていた真田さんが、猿渡警部に近づく。
「なんだ真田!?」
「いや、確かに良い猿芝居だったと思いますけど・・。」
「誰がサルじゃ!!?」
「まぁまぁそんな気を立てんでくださいな。
1つだけケチつけてもいいですか?」
「なんだ!?」
「【最初の一撃目】です。」
「・・・・ど、どういう事だ?」
「小西、悪いけどもう1回歩いてくれるか?」
「了解です。」
「ただし、傘をさした状態でな。」
「・・・・あ、そっか。
今はほとんど降ってないけど、
当日は土砂降りでしたもんね。」
車まで戻るのが面倒だったので、
その場で傘を持っていた県警の人に借りて、真田さんの言われた通りに傘をさして歩き出す。