母を想えば
「どうですか猿渡さん?」
「・・・・・なにがだ?」
「土砂降りに加えて、
真夜中だったんですよ?
視界は今の5倍は悪いはずです。」
「・・・・・・・・・。」
「今、向こうに向かって傘をさして歩いてるあの男・・・小西だと分かりますか?」
「・・・・・・・・。」
背中越しに真田さんと猿渡警部の会話を聞く。
なるほど・・・。
満島さんはどうして後ろ姿だけで杉内検事長だと分かったのか?
って事を真田さんは言いたいのかな。
「そんなもの!遙かずっと前から尾行していたに違いない!」
「あなたさっき“待ち伏せしてた”って力説してたじゃないですか。」
「・・・・ぐぬぬ・・。」
「分かりました。
じゃあ仮に尾行だのなんだので、ちゃんと杉内検事長だと分かってたとしましょう。
でも・・・それでもですよ?」
「ま、まだあるのか?」
「小西ちょっとストップ!」
「あ、はい!」
ついうっかり歩きすぎていたので止まると、
ゾロゾロと皆が俺に近づいてくる。