母を想えば
「不眠不休の大変なヤマでしたが、
最後は正義が悪に勝利した格好ですね。
一度目は少年法に守られた灰原でしたが、
今度はもう逃れられません。
灰原は“死刑”
共犯者の才谷は“無期懲役”
遺族の方々は才谷にも極刑を求めていましたが、最終的にこの形で決着した・・・。」
「・・・・。」
「はずだったんですけどね・・。」
「その才谷が・・殺された・・。
ありがとうございます。今回の被害者の背景がよく分かりました。」
「灰原の死刑は10年前に執行済。
模範囚だった才谷は懲役20年を経て最近出所した、という噂は聞いていました。
どうやら再びこの街に潜んで、
余生を送っていたようですね。」
段々と繋がってきた。
どうして関本主任は、“辛い捜査になる”と僕に言ったのか・・。
どうして豊川さんは、死者として僕達の前に姿を現わした才谷と話す前に、
この話をしてくれたのか・・。
「星野君。」
「はい・・。」
「今から死者と化した才谷に事情聴取しますが、恐らく今回の犯人は・・・・。」
「・・・・・・・・・・・。」
「灰原と才谷が・・
当時殺害した女子生徒の遺族。
今回の殺人は恐らく、
“遺族の復讐”だと思われます。」
第1章 完