母を想えば
“ガチャリ”
「あ・・・・・。」
「え・・・・。」
「おぉ~トモコ~!!
帰ったよ~~!!」
「ちょっとうるさい!!」
扉を開けた先、顔を真っ赤にしてフニャけた声を出すアホは置いておいて、
その肩を担ぐように、見知らぬ男の人が呼び鈴を鳴らしていた様子だった。
ハヤトの同僚かな・・?
「夜分遅くに申し訳ございません。
ハヤト君に鍵を出すようお願いしたのですが、まともに会話してくれないので、
鳴らさせて頂きました。」
「ごめんなさい主人がアホで・・。
あの・・担いで来てくれたんですか?」
「今日はご馳走になったので、
これぐらいは当然です。」
「おぉ~!もう1軒行くぞぉ~!!」
「ちょっとうるさい!!
・・どうもご迷惑おかけしました。
あとはこっちで預かります。」
「大丈夫ですか?
リビングまではお運びしますよ。」
「あ・・じゃあお言葉に甘えて・・。」
「トモコ~!愛してるよ~!!」
「近所迷惑言うとるじゃろうがゴラァ!!」
「ぎゃーーーー!!」
担いで来てくれた同僚さんに上がってもらって、
ベロベロで宇宙語を話すアホをソファまで運んでもらう。
「・・zzz…トモコ・・zzz…ハルカ・・
・・・・zzz…・・・・。」
「ハァ・・こんな酔っ払って帰ってくるの初めてかも。
本当にありがとうございました。
もし良かったら、
お茶でも飲んでいかれますか?」
「いえ、お気遣いありがとうございます。
では私は失礼します。」
「すみません・・。
朝になったら叱っておきます。」
「・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・?」