母を想えば


「え・・いやいや!
そんな全然ですよ~。」


「ンンッ、一度直接お礼が言いたいと思っていました。」


「・・?私にですか?」


「ンンッ、いつも美味しいおにぎりをありがとうございます。」


「・・・・・・・あ!
ひょっとしてパンの耳の新人君?」


「はい。

ワケアリ人間を雇ってくれる人情社長に、
優しく気遣ってくれるサブリーダー。

私はつくづく周りに恵まれています。」


「お金無くて大変かもだけど、
ご飯はちゃんと食べた方がいいですよ?」


「はい。気をつけます。」


「昆布とおかかと梅と鮭のローテーションに飽きたらいつでも言ってね。

困った時はお互い様だから。」


「ありがとうございます。
では失礼しま・・・。」




“ガラガラ”


「フワ~ア・・お母さん何事・・?」


「あ!ハルカごめん・・起きちゃった?」



パジャマ姿のハルカが目をこすりながらリビングに現れたこの瞬間、

朝になったらハヤトをしばき倒す事が確定した。



「え・・あ・・・お客さん?
こんばんは・・。」



「・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・ンンッお嬢様ですか?・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・。」


「はい。娘のハルカです。

・・ハルカ。
もう大丈夫だから寝てなさい。」



「・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・可愛らしいお嬢様ですね。・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・では今度こそ失礼します。」



「ありがとうございました。
おやすみなさい~。」



玄関まで新人君を見送った後、宇宙寝言を呟くアホにタオルケットを掛けに・・

「あ・・・!」


新人君の名前聞くの忘れてた・・。
うん、明日ハヤトに聞いておこう。






第6話 完












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