母を想えば
“俺よりお前から言った方がサルも聞いてくれるだろ”
猿渡警部からすっかり嫌われている真田さんの代わりに、手を挙げて立ち上がった。
「なんだ小西!?
所轄のお前らの意見はこれ以上聞かんぞ!」
「猿渡警部。提案があります。
満島さんと杉内検事長の不倫についてですが・・。」
「なんだ?」
「杉内さんの奥様やお子様の事を考えると、
“実はあなたの夫・お父さんは不倫してたんだよ”という現実を突きつけるのは、
いささか酷かと考えます。」
「・・・・・確かにそうだ。」
「こうするのはいかがでしょうか?
ただ仕事の付き合いで“蝶舞蘭”を利用していただけの杉内検事長に、
満島さんが一方的に惚れて、
一方的に好意を寄せ、
一方的にその想いが殺意に変わった。
いわば、満島さんは杉内検事長のストーカーだったんです。
これなら杉内検事長の汚名も、
ご遺族へのダメージも守られます。」