母を想えば
「小西・・・・・採用だ!!」
「ですが、一つ問題が・・。」
「なんだ!?」
「二人の不倫を示す証拠が見つかってしまったら、
今のご時世、コンプライアンス上、
隠し通すことは得策ではありません。
付近一帯のラブホテルの防犯カメラの確認、
閉店後の蝶舞蘭から杉内検事長と満島さんを乗せたタクシー運転手への聞き込み。
それらを洗って、もし何も証拠が出てこなかったら・・という条件付きで、
このストーリーが使えます。」
「・・・・・・・・・・・・・・
・・・・よし!そこは我々が承る。
ムコウジマ署の諸君は凶器の出所について、
我々は人海戦術で防犯カメラの確認及びタクシー会社への聞き込み。
本件の結論はもう少しだけ先延ばしだ!!」
・・まんまとこちらの思惑にハマった!
さすがは真田さん。
“杉内検事長&検察への忖度”を意識するサルだったら、
なるべく杉内検事長に対するマイナスイメージは払拭したいはずだ・・と読んで、
めちゃくちゃ時間と人手を要す、
映像解析の仕事を増やした。
これで・・・・
「じゃあ小西。
今夜あたり“蝶舞蘭”に潜入してみるか。」
「俺、小遣い制だから金無いですよ?」
「大丈夫だ。俺も無い。」
「謹慎中はやっぱ給料も激少だったんですか?」
「“財布要員”をもう一人連れて行こう。」
「誰ですか?・・・長さん?」
「あの店って接待でも利用されてるんだろ?」
「そうですね。」
「じゃあ・・この事件の真相を暴く上で、
絶対に味方に付けておかないといけないアイツを俺達で接待するか。」
ウキキと笑いながら上座にどかっと座って、
コーヒーを飲むその人物。
真田さんの視線がそこに向けられている事に気付き、マジっすかと小声を漏らした。
第7話 完