母を想えば
「トモコ・・・。」
「・・・どうしたの?」
洗い物を終えて、洗濯物を畳んで、
ミシンをかけて、アイロンをかけて、
部屋中の電気を消した後、
1時間ぐらい前に先に入ったはずの隣の布団から声を掛けられた。
「・・・・・・・・・・・・・。」
「まだ寝てなかったの?
明日寝坊しても知らないからね。」
「・・・・・・・・・・・。」
もしかして・・寝言?
暗闇の中、それ以降何も聞こえなくなったので私も枕に頭を傾けて目を閉じ・・
「【正義】ってなんだろうな・・・。」
「・・・・・・・?」
どうやらホントに起きてるらしい・・けど?
「いきなり何よ?」
「ずっと考えてた。
ずっと自問自答してた。」
「・・・・・・?」
「ようやく分かった。」
「ねぇどうしたの?何かあったの・・?」
「・・・・・・・・・・・・。」
トーン。口調。雰囲気。
暗闇の中、隣の布団から伝わってくる声を聞きながら、
いつの間にか枕から頭を離し、
起き上がって暗闇の先を見つめ・・
「・・・・・・・・・・・。」
「ちょ!・・何・・!!」
「「・・・・・・・・・・。」」
ふいに掛かる重力。
何年ぶりかに掛かる重力。
ハルカが高学年になってからすっかり無くなった重力。
驚きと同時に、
恥ずかしさが全身を支配した。