母を想えば


********************************************



想像以上の落ち着いた雰囲気だった。


キャバクラには何回か行ったことがある。

大音量のHipHopのBGMの中、お互いの顔を接近しないと聞こえない会話。

でもここは、柔らかなクラシックがしっぽりと流れているから普通に会話が出来る。



キャバクラには何回か付き合った事がある。

肩が出て胸の谷間がガッツリ強調されて、“キャハハ”“ギャハハ”と手を叩いて盛り上がる会話。

でもここには艶やかな着物を纏って、手を口に当てて微笑するおしとやかな笑顔。



そんなんだから場に響くのは、


「ウキキ。ほら君達ももっと飲みたまえ。
ママ。この子達にもお酒持ってきなさい。」


「ありがとうございますぅ~。」

「「「いただきます。」」」


モデル事務所とかサロンモデルとか、

とにかく“モデル!”っていう肩書きがついてもおかしくない美女達に囲まれて、

すっかり上機嫌のおサルさんのムフフ声と、


「・・・パンテーンでしょ?」

「すごい・・当たりです。」



「・・・TUBAKIでしょ?」

「なんで分かるんですか?」


ちゃっかり人気No.1とNo.2を両肩に抱き、

髪の匂いを嗅いで“使ってるシャンプー”を的中させる変態スケベのエヘヘ声。


< 178 / 240 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop