母を想えば


ねぇ・・・ハヤト・・・・?



「・・・・・ハルカ・・・・・。」


「・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・。」



私の頭の中に“なんで?”が埋め尽くされる中で、

この子の頭の中には何が浮かんでると思ってるの・・?



「何か・・少しでもいいから食べられる?
起きれる・・?」


「・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・。」



苦しい胸の内を無理矢理押し殺して、
お葬式まで頑張って、

それからずっと学校にも行けずに一日中、

布団の中でくるまってるこの子が今何を考えてるか分かる・・?



「・・・・・・。」


「・・スッ・・ヒック・・・スッ・・スッ・・。」



“なんで?”って答えを出せないまま止まってる私と違って、

ハルカは・・“自分のせいだ”って一日中泣き続けてるんだよ・・?


“なんでもっとお父さんと話さなかったんだろう”

“なんでもっとお父さんと一緒にご飯食べなかったんだろう”

“なんでもっとお父さんに「ありがとう」って伝えなかったんだろう”

“なんでもっとお父さんに「ごめんなさい」って言えなかったんだろう”


ずっと自分を責めてるんだよ・・?

“最近ずっとお父さんが悩んでたのは私が原因だったんだ”って決めつけて、

“私がお父さんを殺した”
ってずっと泣いてるんだよ・・?




「・・・・・・・・・・・・・。」


私はさ・・・頭も良くないし、
料理も裁縫も人並みだし、

ハヤトには勿体ない女だったけどさ・・でも誰よりもハヤトの事を知ってる女だよ・・?


だから、“なんで?”の答えが出るわけ無いよ・・。


いくら考えても、いくらこじつけても、
絶対に自殺なんてしない。


絶対に愛娘にこんな仕打ちを与えない。

絶対に・・・・愛妻に・・
何も言わずに勝手に逝かないでしょ・・?


ねぇ・・・ハヤト・・・・・。
































 


 


< 194 / 240 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop