母を想えば


「・・どんな話を聞いたんですか・・?」


「全部聞いたよ・・・。

お父さんの事も。
自殺した理由の事も・・

あんたの裏切り行為についても・・!」


「・・・・・良かった・・・・。」


「・・・は・・?」


「信じてくれたんですね・・。

もう・・・“自分のせいだ”って・・自分を責める事をやめてくれたんですね・・。」


「・・どういう事だ・・?」


「良かったです・・あなたやナルミさんのような温かいご夫婦にお世話になって。

私にとっても・・まさかあの事件の関係者のお家にお世話になってくれて・・。」


「・・・・・・・・・・。」


「これで益々あなたとナルミさんは、
ハルカを大切にしてくれる・・。」


「あんた・・一体何を言ってる・・?」


「マホちゃんの命を奪った2人が逮捕されて、罰を与えられて良かったですね。」


「・・・・・・・・・・・・。」


「才谷ヒロシだけじゃなくて・・その才谷を操っていた主犯の灰原ジロウも・・。

彼に死刑判決が与えられたことで、

遺族の怒りや哀しみ、気持ちに僅かながら影響があったんじゃないですか・・?」


「だからって全てが終わったわけじゃない。

それは確かに・・才谷の無期懲役には納得いってないけど・・

でも灰原に極刑が与えられて私たち遺族会の心は救われた。

でも・・だからって私たちは、
一生この哀しみと戦・・・。」


「灰原を逮捕出来たのは“ハルカの父親のおかげ”って言ったら・・

あなたはどうしますか・・?」


「え・・・・・・・。」

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