母を想えば


―――――― 


「ちょっと下っ腹が出たか?」


『痛いところを突かれましたね。
最近は運動不足でして。』


「ムハハ。メタボには気をつけなさいよ。

私みたいに毎年健康診断で引っ掛かっていたら、それこそ時間の無駄だ。」


『はい。またランニングでもします。』


「ムハハ。しかし運動不足に陥るほど、
仕事の方は順調のようだな。

相変わらず君の活躍ぶりはこっちにまで聞こえてくるよ杉内君。」


『ありがとうございます。』


「もちろん・・白川検事総長の耳にもね。

今のうちから家族にも伝えて、
引っ越しの準備でもしておきなさい。

来期の人事異動で、
君は念願の東京入りだ。」


『これでまた一つ、力を付けられます。
これで・・国家へまた一歩近づける。』


「君の野望・・

“少年法の撤廃”
“死刑基準の引き下げ”
“終身刑の適用”

・・ムハハ、君が白川検事総長の後釜となったら、私も益々忙しくなりそうだ。」


『この国は犯罪者に甘すぎるんですよ・・。

例え小学生だろうが実名を公表すればいい。
問答無用でイジメは傷害と判断すればいい。


例え命を奪わなくても死刑にすれば、
人々は再犯に怯えることは無くなる。


それでも腐った死刑廃止論者が喚くなら、
一生牢屋にぶち込んでおけばいい。


被害者や遺族だけが割を食う正義なんて、
悪も同然ですから。』

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