母を想えば
『しかしその記者も、勝手な憶測を述べているだけで証拠は掴んでいない様子だな。』
「そのような印象でした。」
『そりゃそうだ。
そんな事実は無いんだから。
まだ嗅ぎ回るつもりなら、
“杉内の口から静岡県警の板尾の名前が出た”と餌を与えておいてくれ。
板尾はあの時の事件を一緒に捜査した、
あの当時最も俺に近かった県警の人間。
そいつに取材すれば、そんな証拠は微塵も無いことが分かるだろうよ。』
「でも・・・・・・。」
『ん?』
「仮に・・もし事実であったとしても・・杉内さんは悪くないと思います・・。」
『・・・・・・・・。』
「凶悪犯を倒す為の・・
正義の化身ですものね・・?」
『・・フッ・・・フハハハ!
やはり君は賢い女性のようだ。』
「・・・・・・・・・・・・。」
『そうだな。
仮にそれが事実だったとしても、
それの何が悪い・・?
灰原があの事件に関わっていたのは明白だった。あとは証拠さえ挙げればこちらの勝ちだった。
俺は正当な捜査、
正当な証拠を見つけ出したが、
もし偽造したとしても、それが何だ?』
「はい。その通りですね。」