母を想えば
最終話
前編
最終話
雨・・・・雨・・・・雨・・。
四畳半の窓から見える外は、
水しぶきで何も見えない。
「・・・・・・・・・・・・・。」
新聞紙にくるんだ包丁。
鞄に入れてから、
小さな鏡面台に映る自分と目を合わせる。
あの日から止まった時計の針。
20年間止まったままの針。
もう二度と動く事の無い針。
本当なら・・6年後・・・
手を繋ぎながら、
桜並木を一緒に歩く約束をした針・・。
「全部・・終わらせてくるからね・・
・・・・ハヤト・・。」
小さな鏡面台で見る、最後の自分。
毎晩のように流していたものが、
既に目に溜まっていたので、
慌てて拭って傘をさして雨中へ飛び出した。
“ねぇやっぱりやめよ?
私お化けホント無理・・”
“・・・・・・・”
“ねぇ聞いてる?”
“・・・・丈夫”
“え・・・?”
“大丈夫。俺が守ってやるから”
“・・・・・・”
“俺・・原口が好きだ”
“・・・(゚Д゚)・・・”
“だから俺が守る。大丈夫!
所詮は文化祭の出し物。
俺らと歳変わんないお化けなんだぜ?”
“私も・・・・・”
“え・・・”
“私も・・満島君のこと・・好き・・”
“今日からさ、絶対この手離すなよな”
“うん・・・”
“ずっと繋いでいよう。
卒業しても大人になっても、ず~っと!”
“うん・・!”
“ウェアアア!!
アタシ キレイ~~~?!!!?”
“ “!?” ”
“ぎゃーーーーーーー!!!!!”
“ちょ・・言った傍から手離すなゴラァ!!”