母を想えば
「・・が・・・・う・・・。」
『あぁ!?』
「ゴホッ・・ちがう・・・!
ぞの1人の命にだっで・・
家族が居るんだ・・!
あなだにどって・・100人いるうぢの1人がもじれないけど・・ゴホッ・・
・・・わたじにどってば・・・。」
『・・・!?』
「だっだ一人の・・
・・恋びど・・
だんだ・・・!」
『フハハハ!腫れ上がった頬じゃ何を喋ってるのか分からんな!?
いいぞ?そろそろ黙らせてやる。』
「・・・・。」
『俺の力を見くびるなよ?
ストーカーホステスに襲われた末の正当防衛で処理してやる。
こっちも包丁を使ったら過剰防衛になるが、
殴り殺しただけなら“力加減の結果論”で何とでも言い訳はできるから安心しろ!!』
・・・・悔しい・・・・・・
ちくしょう・・ちくしょう・・!!
雨と腫れで最悪の視界。
一瞬だけどキラリと反射した刃先。
道端に放られたあの包丁を取って、
もう一度突き刺すことが出来たら・・
あと少しだけ・・力が残ってたら・・・
『残念だったな満島トモコ。
“正義”の重圧も知らない旦那やお前は・・
所詮は俺には勝てない。』
「・・・・・・・・・。」
殺してやる・・・絶対に殺してやる・・
掴まれた胸ぐらを振りほどく力は残っていない。
顔面へと打ちつけられる圧力に耐えられる力は残っていない。
でも・・遠くなっていく気を振り絞って・・視線だけは絶対逸らさない・・。
憎しみを込めたこの視線だけは、最後までこの男の脳裏に焼き付けてやる・・・
『最初の威勢はどうした?
最期は睨みつけるだけか?』
「・・・・・・・・・。」
『・・満島ハヤト・・トモコ・・。』
「・・・・・。」
『お前達の負けだ・・・!』
・・・ハヤト・・・・ごめン・・・・・