母を想えば


涙を浮かべるハルカさんのその目つきは、
力強さと共に“狂気”さえも感じた。


理由はどうあれ、この人は罪を犯した。

同情すべき所はたくさんあるけど、
でもこの人は許されない罪を犯した。


だからこそ・・
罪を認めるだけじゃダメだ。

ちゃんと向き合って、
ちゃんと更生しないと・・

その目つきが再び、お店のホームページに載っていたような優しい眼差しに戻らないと・・


この後の社会復帰、
この人の再出発の道が開かれない・・。



「小西君よ。」


「あ・・はい。」


「すまんけど、少しの間ハルカちゃんと二人にさせてくれないか。」


「え・・・・。」


「もうこんな時間か・・。

今から駅に向かってたら新幹線に間に合わないかもしれないからタクシー拾ってきて。

軽く事情説明して、ムコウジマまで乗せてってくれる運転手さん見つけてきて。」


「・・・・・了解です。」



受け取った真田さんの視線。

なんだか・・いつの日か一度受け取った事のあるようなその無言の合図を受けて、

タクシーを探しに大通りへと走る。



















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