母を想えば


「ハルカちゃん。」


「はい・・。」


「・・・・・・・・・・・・・・・。」


「・・・・?」


「・・・・・・・・・・。」


「・・・・。」



「私は君によく似た女性を知っています。」



「・・・え・・・・・?」


「その女性は、
理不尽な悪によって母親を奪われ、

理不尽な悪に真っ向から立ち向かった父親をも失い、

今の君と同じ眼光を纏って・・

“両親の仇討ち”に心の全てが支配されていった。」


「その人も・・誰か殺したんですか・・?」


「はい。理性も全て投げ出して、
彼女は罪を犯しました。」


「・・真田さんが逮捕したんですか・・?」


「はい。」


「・・・・・・・スッ・・・・・。」


「・・・・・・。」


「・・スッ・・その人は・・・スッ・・
その人は・・今どうしてるんですか?」


「理性を取り戻して、

自分が犯した過ち・・
自分の心ともう一度向き合って、

罪を償って出所した後・・・
今はアメリカに渡り、

彼女の成長を影からずっと見守っていた男と、親友にあたるその男のお嬢さんと3人で、

幸せに暮らしています。」


「・・・・スッ・・・・スッ・・・。」



「ハルカちゃん。

時間を掛けて、これからどう生きれば天国のお父さんとお母さんが喜んでくれるのか、

残された人生をどう捉えて、
どう生きていけばいいのか。」


「・・スッ・・ウゥゥ・・スッ・・ヒック・・。」


「罪悪感とか復讐とか、
そんな小難しい事は考えるのやめて、

“満島ハルカ”としてどう生き抜いていくのか、それを考えてみるのはどうかな?


君は偉大な母親から“愛”を受け継いだ素晴らしい女性だから、

罪を償った後に広がる君の未来は、
きっと素晴らしいものになると思うよ。」



「・・・・ウゥゥ・・スッ・・・・
・・ありがとうございます・・・
・・・真田さん・・・・・・。」

































 


 


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