母を想えば


ビールが注入されてすっかりお猿さんのように真っ赤っかになった猿渡さんが急に・・

テーブルに配置されていた塩の瓶を手に取る。


「悪霊退散じゃぁああ!!!」


「「!?」」


・・・え~~~・・・!?


蝶舞蘭の時から薄々気付いてはいたけど、

どうやらこのサルは完全に悪酔いするクチらしい・・。


瓶から掌へこんもりと塩を取りだして、
何も無い“空気”に向かってぶちまけ始めた。


他のお客さんにかからなかったからまだ良いけど・・


「ちょ・・何やってるんですか!?」


「あ~あ。小西、ちょっと店員さんから雑巾借りてきて。」


「ウキキキ。これで邪悪は消えた。
さぁ飲み直すぞ!!」




まったく・・何が何だか・・。


「真田さん。」


「うん?」


「県警と関わるのはもうこりごりです。」


「同感だな。」


お肉の良い匂いが充満する、どこかさっきよりも澄んだ空気を感じながら、

店員さんに謝って、床にぶちまけられた塩を真田さんと一緒に掃除した。







         母を想えば   終










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