母を想えば
「はい。名前は【吉田ツヨシ】
美容サロン“MAHO”オーナー。
それから・・・」
「・・・・・・・・。」
「“遺族の会”の会長も務めています。」
「彼は“遺族F”・・6人目の被害者、
吉田マホさんのお父様です。
当時の私達があと1日早く才谷を確保して、
灰原の計画を阻止していれば、
犠牲にはならなかった被害者ですね。」
「・・・・・・・・・・。」
「一つ、遺族A~Fの中で、
最も年齢が若く行動力がある。
一つ、最年少ながら“遺族の会”を結成するなど、
自分だけでなくA~Eの親御さんとの助け合いを大切にしている。
一つ、現在は奥様にも先立たれ、
もう失う物が何もない。
そしてもう一つ・・・」
「・・・・・・・。」
「5人も犠牲者を出していながら犯人を挙げられず、
そのせいで自分の娘が6人目の犠牲者になった。
当時、署名活動など必死に行動を起こし、
共犯者の才谷にも極刑を求めたが結果的に叶わなかった。
彼は遺族の中で最も・・【警察と検察を恨んでいる】人物です。」
「そうですか・・。」
「あくまで人物像からの推測ですが、
遺族A~Fの中で最も、
才谷を殺害した疑いが強い方ですね。」
これで聞き込み先が確定した。
煙草を消した豊川さんと屋上をあとにして、
関本主任に一言声を掛けた後、
僕達は美容サロン“MAHO”へと向かった。
第2章 完