母を想えば
「星野君。」
「あ、はい。」
「私達はミスを犯したかもしれません。」
「え・・・?」
「素朴な疑問ですが、美容院ってこの時間帯に行っても大丈夫なんでしょうか?」
時計を確認すると・・
もうすぐお昼の11時前・・
「そんなに人気の美容院だったら、接客に忙しく私達に構ってくれないかもしれませんね。」
「でも今日は平日だし、
大丈夫なんじゃないですか?」
僕の安易な予想はお店に着いてすぐに砕かれる。
白と木材を基調としたオシャレな店内に入って、
たまたま受付で作業していた子に警察手帳を見せたけど・・
平日の午前中と言えど席は満杯で、もれなくスタッフの皆さん全員が接客対応中だった。
後から教えてもらった話だけど、
どうやら美容院が一番混むのは午前中からお昼の時間帯らしく・・
スタイリングしてもらってそのままお出かけ・・といった目的で、
利用するお客さんが多いとの事らしい。
「吉田さんが空く時間は、
何時か分かりますか?」
「え~~~っと・・・・
オーナー今日も予約が一杯なので、
20時以降にまた来て頂けますか?」
視線の先で女性客と楽しそうに会話をしながらハサミを握る吉田ツヨシさん。
その姿を確認した後、
閉店時間にまた出直す事にした。