母を想えば
これはいきなり出鼻をくじかれたな・・。
吉田さんが才谷の手紙を読んでいない・・
遺族感情を逆撫でしたあの内容を目にしていないという事は、
行動を起こす理由が無くなる・・。
「あ~吉田さん。」
「はい。」
「“遺族の会”の皆さんとは、
最近交流はありましたか?」
「・・・・・勿論、
遺族会は大切なコミュニティです。
ですが豊川さん。私達はかけがえのない宝物を失ってもう20年・・・。
今日まで、そして明日からも必死に生きようとしているんです。」
「・・・・・・。」
「だからここ数年は・・
それぞれのお嬢様の命日に、それぞれの場所に献花するだけに留めています。
・・逃げているわけではありません。
ですが私達はいつまでもこのコミュニティに甘えることなく、
それぞれ置かれた立場の中で頑張っているんです・・!」
「お察しします。」