母を想えば
「ハルカ・・。君は首を突っ込まないで大丈夫だから。」
吉田さんが“向こう行ってなさい”と手でジェスチャーするけど、
女性は僕と豊川さんの前へと立つ。
「え~っとあなたは・・・・。」
あ・・・今朝見たHOT PEPPERで、多分吉田さんの隣に写真が載っていた人だ・・。
確かチーフスタイリストの・・・
「ここで働いてる満島ハルカです。
刑事さん。吉田さんのアリバイなら私が証明しますよ。」
「と言うと・・?」
「星野さん。私から説明します。
・・ハルカ。いいから片付けが終わったらもう上に行ってなさい。」
「・・・・・うん・・。」
・・・上・・・・。
2階建てのこの店舗は、ある意味僕が生まれ育った“専浄寺”と一緒で、
オーナーの吉田さんの生活スペースも兼ねているようだけど・・・
「すみません・・。」
「あ、大丈夫です。
それよりあの方は・・?」
「あの子は【同居人】です。」
吉田さんの口から飛び出した言葉に驚いたのは豊川さんも同じらしく、
猫背がちょっとだけ伸びた。