母を想えば
「あ~吉田さん。あの子何歳ですか?
随分と歳が離れてるように見えましたが。」
「お待ち下さい。
豊川さん、星野さん。
勘違いしないでください。
ハルカはあの子が14歳の頃から私と妻が面倒を見るように・・
この家で一緒に暮らすようになりました。」
「ご親戚ですか?」
「いえ・・知り合いの子供というか・・。
その辺りの事情は少し複雑なんです。」
「ではあまり聞かないようにしますが、
もう1個だけすみません。」
「はい・・。」
「彼女、見たところ30代ぐらいのように思いますが、同居はいつから?」
「え~っと・・・
19・・18年前ぐらいだったと思います。」
「という事はあの事件の後ですか・・。
どうりでホワイトボードに彼女の写真が無かったわけですね。
星野君、帰ったら吉田さんの写真の所に線を足して、
満島さんの名前も書いておいてください。」
「分かりました。」
「それで?まさか一緒の布団で寝ているんですか?」
「違います。同居しているだけで、ちゃんとあの子の部屋も用意しています。
ハルカは・・私達がマホを失って間もなかったというのもありますが、
妻と一緒に本当の娘のように育てました。
マホを失った哀しみに、
私達が押し潰されなかったのは、
あの子の存在があったからです・・。」
一緒に住んでいる女性が、
“吉田さんは寝ていた”と証言か・・。
どうやらあの人にも事情を聞いて、きちんと裏取りする必要があるようだ・・。
「では夜分遅くに失礼しました。
また何かありましたら参ります。」
その後も何点かやり取りした後、
今日の聴取はこれぐらいという事で、
豊川さんとお店を出た。