母を想えば
「豊川さんはどう思いましたか?
吉田さんは“白”か“黒”か・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
「20年もの間、必死に哀しみと戦って生きてきた遺族の人達が、
それでも行動を起こしてしまったのは、間違いなく才谷の手紙がキッカケだったはずです。
でもそれを読んでいないとなると、
吉田さんは・・・。」
「黒に近いグレーです。」
「え・・・!?」
「彼はどちらか一つ、
嘘をついています。」
「“どちらか”・・と言うと?」
「・手紙を読んでいない
・現在の遺族会はほとんど交流が無い
この2つのうちの、
どちらかは嘘だと私は考えています。」
「どうしてそう・・?」
「思い返してみてください。
私が“才谷が死んだ”と伝えた後の彼のリアクションを。」
「・・・・?」