母を想えば
「明日・・あの同居人の女性に、吉田さんのアリバイの是非を確かめましょう。」
「君にお任せしてもいいですか?」
「え・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
「豊川さんは行かないんですか・・?」
「私は梅田課長とお茶でも飲んで待っています。」
「・・分かりました。」
「・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・?」
「星野君。」
「はい・・・。」
「次に私があの店を訪れるのは、
吉田さんに【自首】を促す時です。」
「・・・・・・・・・。」
・・そうか・・・・。
“黒に近いグレー”と濁したけど、豊川さんの中では結論が出ているのか・・。
確かに、20年前に実際に関わった事件。
それにまつわる人達・・・
・・その人柄をよく知っている人達。
豊川さんは死者に対する振る舞いからも、一見すると無慈悲で冷酷だけど・・
刑事課の中で誰よりも“被害者”の側に立って、その気持ちを汲み取るお方・・。
だからこそ、その心情を理解して・・
今回誰がこの事件を起こしたのか・・
吉田ツヨシ=“黒”
と結論を出したに違いない・・・。
第3章 完