母を想えば
「才谷と灰原の犯行を目撃したんだったら、
どうしてもっと早く名乗り出てくれなかったんでしょうか・・。
灰原はともかく、それがあればもっと早く才谷の確保に繋がって・・
もしかしたら6人目の吉田マホさんは被害に遭わなかったんじゃないかって・・
・・すみません、
もう今さらの話ですが・・。」
「そうだなぁ・・。
あの時は県警と検察が捜査を主導してたから、
俺ら所轄は使いっ走りで、まともに情報も落ちてこなかったけど・・
確か、“才谷と灰原が一緒にいる所を目撃した”って感じだった気がする。」
「あ・・ちょっと話を“盛った”んですか。」
「実際、嘘では無かったからな。
検察がよく使うやり口だよ。
まぁいずれにしてもその証言のおかげで、
灰原と才谷の関係性が証明されたから、
もう1つの決定打・・
現場に残された灰原のDNAが持つ意味の重要性と重大性が立証できた。」
思い出話・・と言ったら不謹慎だけど、
関本主任からも当時の話をたくさん聞かせてもらった。
県警と所轄の圧倒的な“主従関係”の狭間で、
パシリとして必死に奔走していた梅田課長や関本主任・・
そしてその頃から既に被害者・・
死者と向き合っていた豊川さん・・。