母を想えば
「中学を卒業して高校に行って、
卒業後は専門学校に行って、
ちっちゃい頃から夢見てた美容師になる。
私が描いてた道は消えて、生きてく為に“中卒”で社会に出なきゃいけなくなった。」
「・・・・・・・・・。」
「“こうなったら独学で勉強するしかない”
だからダメ元で・・“雑用”として雇ってくれる美容院を探して・・
そんな経緯があって、
吉田さんご夫婦に拾ってもらったの。」
「あれ・・?吉田さんは“知り合いの子”って言ってましたけど・・。」
「こんな私の生い立ちを一から十まで説明するワケにはいかないでしょ?
吉田さんはいつもそうやって私に気遣ってくれた。
ナルミさんも・・毎日営業が終わったら私の練習に付きっきりになって・・
“中卒”の私に技術を叩き込んでくれた。」
「・・・・・・・・・・。」
「今の私があるのは、お父さんと、
吉田さん・ナルミさんご夫婦のおかげ。
あの女が狂わせた私の人生を、
吉田さんが救ってくれたの・・・。」
「・・・だから・・・
庇ったんですか・・?」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「いきなり警察が来て、
20年前マホさんの命を奪った男が殺された事件を捜査していると知って、
やって来た刑事2人が吉田さんに疑惑の目線を向けて、
“寝ていた”
“それを証明できる人はいない”
そんな彼のアリバイを作ろうとして・・。」
「・・・・・。」