母を想えば
「今のあなたの元には、
大切な“仕事仲間”が4人。
そして数え切れない大切な“お客様”がいる事を失念していました。」
「申し訳ございません・・。
1日でも早く・・
自首しようと思っていました。
知り合いや同業のオーナー達を頼って、
あの子達の引き取り先を探したり・・
どうしても見限れない大切な予約を叶えようと・・
ウチの代わりに早朝からヘアアレンジの予約が取れるお店を探したり・・
すみません時間が掛かって・・・。」
「スタッフの方々が路頭に迷うことは無いですか?」
「はい・・。なんとか全員、県内のサロンで雇ってくれるところを見つけました。」
「むしろこの短期間でよく・・・。
あなたには頭が下がります。」
・・・・そうだったのか・・・。
豊川さんは・・
ずっとそれを待っていたのか・・。
目に涙を浮かべて頭を下げる吉田さん。
ゴホゴホと咽せながら、
2本目の煙草に火を付ける豊川さん。
2人の間には・・なんだろう・・
“信頼”と言ってもいいかもしれない。
20年前に起きてしまった凄惨な事件で巡り会った、所轄の刑事と遺族の間に流れる・・