母を想えば


「・・・豊川さん・・・。」


「はい。」


「今日までの日々の中・・

“もし”、なんて事は考えないように生きてきました。」


「・・・。」


「でも今は強く思います。
もし・・梅田さんや関本君・・。」


「・・・・・・。」


「“パシリ”として、私たち遺族に誰よりも寄り添ってくれたあなた達が、

捜査を主導してくれていたら・・。


私達の事なんて後回しで・・

そのくせ、いつまで経っても犯人を捕まえてくれなかった静岡県警じゃなくて・・

セイズ署の皆さんが捜査の指揮を取ってくれていたらって・・・。」


「・・・・刑事として、
最上級の褒め言葉ですね。

梅田と関本にも伝えておきます。」




「お願いがあります。」


「はい。」


「あと【1時間】・・
待ってくれませんか?」


「・・。」


「まだやり残した事が1つ残っています。」


「・・・・何ですか?」



「ハルカと最後に話をしたい。」



「・・・・・・・・・・・。」


「上で待たせているんです。

本当は昨夜のうちに全て終わらせるつもりだったけど・・

まともに取り合ってくれなくて・・

他のスタッフの子達と同じ様に、
あの子にも泣きじゃくられました。


だからもう少しだけ・・
ハルカと話がしたいです。

お願いします。
1時間後に必ず出頭します。

私にもう少しだけ・・
時間を頂けないでしょうか?」



「・・・・。」


「・・・・・・・・・・・・。」



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