母を想えば


「・・星野君。」


「はい。」


「帰りますよ。」


「・・・いいんですか・・?」


「・・・。」


「言いたくないですけど、

逃亡を図られたり・・
まして自殺なんてされたら・・・。」


「大丈夫です。」


「・・・・・・・・・・。」


「この人は逃げません。」


「・・・・・・・・。」





豊川さんの眼差しに、
これ以上の議論は不要だった。


顔をくしゃくしゃにして、

嗚咽を漏らしながら“ありがとうございます”と見送る吉田さんに頭を下げて・・


僕達は美容サロン“MAHO”をあとにした。






























< 68 / 240 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop