母を想えば
「・・星野君。」
「はい。」
「帰りますよ。」
「・・・いいんですか・・?」
「・・・。」
「言いたくないですけど、
逃亡を図られたり・・
まして自殺なんてされたら・・・。」
「大丈夫です。」
「・・・・・・・・・・。」
「この人は逃げません。」
「・・・・・・・・。」
豊川さんの眼差しに、
これ以上の議論は不要だった。
顔をくしゃくしゃにして、
嗚咽を漏らしながら“ありがとうございます”と見送る吉田さんに頭を下げて・・
僕達は美容サロン“MAHO”をあとにした。