母を想えば
“犯人は逮捕しました”
“だからどうか安らかに・・
空の境地を開いて魂を還してください”
もう才谷さんは向こうの世界に行ってしまったかもしれないけど、
浮遊霊さんに伝言を伝えて、
路地から大通りへと出た。
「・・・・・・・・・・・・。」
関本主任、仲間の皆、そして豊川さん。
大切な事はやっぱりその背中で教えられた。
感情の揺さぶり、気持ちの葛藤、
犯人への情け。
今回は色々な“心情”が交錯したけど、
それでも捜査はいつものように、
徹底して行われた。
罪を犯した者を必ず捕まえる。
僕達の事を正義と呼んでくれる人達の為に、
絶対に揺らいではいけない“信条”。
改めて・・今の自分じゃ全然足りない。
僕が目指すものは、
もっともっと高みにある。
だから明日からも、
必死に頑張らないと・・!
「そういえば・・
もうすぐ梅雨入りか・・。」
署へと戻る道すがら、
鼻が捉える湿った匂い。
目が捉えるどんよりとした夜空。
「よしっ・・・!」
パラついてくる前に、
この気持ちを加速させる為に、
駆けた足でアスファルトを蹴った。
最終章 完