母を想えば
ふとブラウン管に目を移すと、お天気お姉さんが嬉しそうな笑顔を振りまいていた。
まだまだ肌寒い日が続くけど・・
そっか・・
「もう桜の季節なんだね。」
「トモコ。」
「・・・・?」
「お爺ちゃんとお婆ちゃんになっても、
俺はトモコと手を繋いでお花見したいと思ってるから。」
「・・・・・・え~っと、
それは40年後ぐらいの話?」
「そうなるな。」
「じゃあ40分前に頼んだお風呂掃除さっさとよろしく。」
「・・・あ!!」
「どうしたの?」
「見て見てあれ!
この地域の開花日!」
「・・・・・あ、一緒だ。」
「お腹の子の予定日と、今年の桜の開花日が一緒ってちょっと凄くない!?」
「でも初産は予定日から遅れがちって聞くから、きっと一緒にはならないよ。」
「そうだ!春の時期に産まれるし、
女の子だったら“サクラ”ってのはどう!?」
「あ、それはアリかも。」
「・・って結局女の子も俺が決めちゃったけど大丈夫?」
「うん問題無いよ。
問題無いけど・・・・・。」
「けど・・・?」
「・・・・私はさっさとお風呂入りたいんじゃゴラァ!!」
「ぎゃーーーー!!」
「アハハハ!」